【人間魚雷】無慈悲な「回天」の大神訓練基地を調査する【特攻兵器】(1)

全国裏探訪取材班は、大分県日出町に来ている。ここには75年以上前に特攻隊の魚雷版、人間魚雷「回天」の訓練基地があったことはご存じだろうか。実際にどんな環境・立地で訓練を行っていたのか回天大神訓練基地調査してきた。

回天は一度乗るとほぼ生還できない構造から、また日本軍が開発した特攻兵器としては最も古くその特殊性から僻地に訓練所を設けた。

比較的に目的地に向かうのは案内掲示板があるため簡単だが、看板を見つけても非常に遠い。これはここの立地が大きく影響しており、アップダウンの激しい道をひたすらすすまなければならない。

アップダウンの激しい道と距離が秘匿性をあげていたのだろう。当時の訓練生はこの道を通る時何を感じていたのだろうか・・・

近くのインターから車を走らせること約40分。ようやく到着した。早速回天が飾ってあった。大々的な周知をしていないせいか、特段人影も案内所のようなものもなく、右側に資料が飾ってある程度。ただ回天の実寸大模型は大きく存在感を示している。

「回天一型改一」(実寸大模型)

別府湾を訓練海域として設定され、実際にここから出撃した個体はなく、出撃を迎えることなく、終戦を迎えた。その為、知覧の特攻隊の記念館のように日の目を浴びないスポットなのかもしれない。

この回天は設計背景がとにかく最低なのである。回天を知らない読者に少しだけ説明をすると、そもそも実際の日本海軍の魚雷である九三式酸素魚雷を人が操るように改造しただけ。もちろん脱出装置など存在しない為、攻撃の成功失敗に関わらず一回出ればもう命はなかった。特攻兵器の中でも無慈悲な部類だと感じる。

冷静に考えてみてほしい。航空機とは異なり燃料がなくなったら、8トン以上ある回天はみるみるうちに推進力を失い、流されるか水に沈むか、残りの酸素も無くなり船員はやがて息絶える。もしくは敵艦に体当たりし爆死。

外れても地獄、当たっても地獄。というわけか。航続距離も爆薬量によるがわずか最長でも記録上たった62km。いずれにせよ海のど真ん中で放たれたらもう生きては帰れない。  

当たり前だが先端には信管や爆薬、酸素が配置されている。出撃時暗闇の中彼らは何を想い、そして何を感じたのだろうか…知る術はもうない。

中を直接お目にかかることは出来なかったが、中は人1人が辛うじて入れる程度のスペースしかない。構造上一酸化炭素中毒になったり、ガソリンを燃えた時に発生する四エチル鉛によって中毒を起こす構造になっていた。これを軍部は知っていて何ら対策をしなかった。鬼畜の兵器とも言える。

回天の模型の隣には回天の実際の調整プールがあった。これは回天に水漏れなどがないか確認するためのプールだったよう。回天と並行して並べてあってサイズ感がよくわかるだろう。

実際近くに寄って見てみるとかなり大きい。  

溶接してとりつけただけの簡素な舵。こんなもので、まともに操作できるわけなし、機雷などの爆風に耐えられうる強度なんかない。それは当然70年以上前の軍人もわかっていたはずだ。

さて、次回も見て行きましょうかね。

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(2020)