全国裏探訪取材班は、福岡県の直方市の「二字町遊郭」に入った。取り壊された部分がほとんどなのだが、ここは風光明媚で格式高い高級遊郭として栄えただけあって、現存する妓楼もかなり大きいようだ。前回はそんな数少ない現存妓楼の中の「一心楼」を見ている。
「一心楼」
二字町遊郭のメインストリートの一番大きな四つ角の角地に鎮座する一心楼。前回から見てきたんですけど今回もその続きを見ていきましょうかね。
玄関の隣には縦格子のある棟を両脇に抱えている。これがまた重厚なんだよね。
左翼の縦格子は半分ほどコンクリブロックで塞がれているんですけど、昔はこの奥で女が手を振っていたんでしょうか。
実はこの一心楼、右翼には入り口がある。ここは何用の入り口なのかはわからんが、奥に階段が見えた。現在は共同のアパートとして利用ださているのだろうか。
交差点の真ん中から妓楼を見てみよう。南に行く路地は少し傾斜になっていて高低差ができている。これがまたいいんだ。
そこで、もう一度当時の見取り図を見ていこう。確かに、当時の見取り図にも四つ角から南に延びる道には「緩い坂」との記載がある。地形は当時のままのようだ。
さて、緩い坂を下りていきましょうかね。昔はこの石垣の上には塀があったんでしょうか。それが、今は取り壊され勝手口へ回り込むときの扉だけがトマソン的に残されているのか。
こちらが「緩い坂」から見た、一心楼。2階建ての妓楼なのだが、緩い坂の下から見ると3階建て妓楼のような迫力がありますね。なかなか見ごたえあるでしょ?
例によってアルミサッシ化されてはいるが、華奢な手摺もこの通り健在なようだ。
まだ住人は居るようで、窓が開いているのが確認できた。まだもう少し解体は先なのだろうか。それとも超高齢の最後の住人なのか。
しかも、毎度のごとく、裏には「千秋楼」っていう妓楼があったようなんですけど、それはもうこの世にはなくて解体後の敷地だけがあるのでこのように一心楼の裏の様子がしっかりと見て取れる。全体が近代化改装されているのでみすぼらしいところはなく、その存在感は依然変わらん。
しかも、こうして真上から見てみると、実は棟がもう一つ後ろに連結されており、かなりの規模なのがわかる。もしかして往時は相当な娼妓を抱えていて、それに見合う部屋数だったのでないだろうか。右上の民家と比べてみれば規模の差が一目瞭然だ。
じつはこの二字町遊郭はこの一心楼以外は残る遺構が少なく残念かもしれない。しかし、この1軒を見るためにでも十分立ち寄る価値はあると思う。
さて、次回はこの一心楼を後にし「二字町遊郭」の縄張りを一通り歩いてみましょうかね。次回最終回までよければご覧ください。
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(2020)