全国裏探訪取材班は、タレコミがあったので北海道室蘭市に来ている。今回はその室蘭市で終戦直前に勃発した「室蘭艦砲射撃」を回想しながら、当時現場に展開していた「室蘭臨時要塞」の物件を見ていきたいと思う。
取材班は白鳥大橋を渡り、室蘭の中心街のある絵鞆半島に渡ってきた。
そこから測量山方面へ傾斜を上がって行くと、室蘭臨時要塞の遺構が未だに残されているのだという。
ある程度傾斜を上がると静かな住宅街が広がる。こんなところに本当に要塞の遺構があるのだろうか若干心配になってきたその時・・・
最後のきつい斜面の奥に何やらコンクリート造の構造物があるじゃないか。なるほどこれかぁ。
「室蘭臨時要塞 小橋内砲台」〈42°19’47.5″N 140°57’34.8″E〉
近づいてご覧いただこうか。これが当時の砲台跡らしい。ちなみにこの場所の住所は、北海道室蘭市小橋内町1丁目28−32あたりだという。念のためここに記しておく。
今年で戦後77年が経過しようとしているが未だにこの鉄筋コンクリート造の砲台跡があるのか。それにしても山の斜面に建設されているので、手前が高く、奥が低い構造となっているのがわかると思う。
「十五糎加農砲掩体跡」
この砲台は正式には十五糎加農砲掩体跡と言うらしい。すなはち、15センチのカノン砲を敵から保護するための構造物らしい。
住宅地に忽然と現れるその掩体物の高さは約5mほどだろうか。厚さは約2mほどありそう。これは当時の北部軍管区司令部が噴火湾を侵入してくる敵艦を撃破する目的で陣地を構築した。もちろん保護するのは、言わずもがな室蘭市の軍需工場だ。
「九六式十五糎加農砲」
設置されていたカノン砲は、九六式十五糎加農砲という形式の物だ。これは1930年代大日本帝国陸軍によって開発された重カノン砲だ。当時列強の十カノン砲は射程25キロメートルほどあったので、それに対応すべく前時代の四五式十五糎加農を改装した。
「九六式十五糎加農砲の分解された砲身」
この砲のスペックは口径149.1mm、砲身長7,860mm(52.7口径)、初速 907m/s(九三式尖鋭弾)、最大射程26,200m、高低射界 -7°~+45°、方向射界 120°。使用弾種は九三式尖鋭弾、九五式破甲榴弾、九六式尖鋭弾、試製二式曳火榴弾が運用でき、砲身は300発で寿命が来るとされていた。陸軍の運用方針はこの九六式十五糎加農を従来配備の射程の短い八九式十五糎加農を前面に配置、その後方に配置し遠距離砲戦を担当するよう構想だったものだ。
現在は蔦まみれになっている、旧軍の軍事施設だが当時の戦いぶりはいかがだったのだろうか。
次回、「室蘭艦砲射撃」での戦いの推移を見ていこうと思う。
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(2021)