全国裏探訪取材班は、青函トンネル「竜飛海底駅」に降り立った。特殊な駅ということで一般人は利用することはないだろう。しかし、今後北海道新幹線が函館まで開通し北海道へ新幹線で旅行・出張へ行く人も多いと思う。最近は地震を始めとした災害や、JRの整備不良などによる発火事故など様々な危険がある。もし読者であるあなたが災害や事故に巻き込まれ、海底トンネルを通る列車乗車中で煙が充満してきたら・・・考えたくもないがそこで思考停止になっては命が助からない。そうなったときに、青函トンネルには本州側にこの竜飛海底駅(現竜飛定点)と北海道側に吉岡海底駅(現吉岡定点)がある。詳しく紹介していこう。
鉄道の走る「本坑」
ホームのレールの間には車両下部を消化するための「スプリンクラー」が設置されている。
53.85Kmの長い青函トンネルを通過中に車両火災などになると、まずその列車はその場でブレーキをかけとどまることはなく、この“施設に”停車する。これは“北陸トンネル火災事故”を教訓としたもので「いかなる場合でも直ちに停車する」よりも「トンネル内火災時には停止せず、火災車両の貫通扉・窓・通風器をすべて閉じた上でそのまま走行し、トンネルを脱出する」方が安全と証明されたためだ。
しかし、青函トンネルのような長大トンネルの場合“トンネルを脱出”するということはとても困難が伴う。なので、53.85Kmの青函トンネルを竜飛海底駅(現竜飛定点)と吉岡海底駅(現吉岡定点)に消火施設と陸上への避難施設を作ることで、
|本州側陸上部|海底部分|北海道側陸上部|
との3つの区画に分離し、リスクを分散した。
トンネル上部にも「スプリンクラー」が設置。
こちらは鉄道の走る“本坑”と並行して掘られている「作業坑」。
坑内は火気厳禁となっておりライターでタバコを付けただけでも、警報装置が発報しセンターへ通報され列車が止まることもあったようだ。絶対火気厳禁である。
鉄道が走る本坑と乗客が退避する作業坑をつなぐ「連絡誘導路」。
本坑から横に延びるこの連絡誘導路は勾配がつけられており、本坑よりも作業坑の方が低い位置にあるのは火災などの場合“煙”が非難する乗客に向かわないようになっている。
作業坑から延びる、上下線を行き来する連絡路。これももちろん本坑の下をくぐる形で下に掘られている。
「青函トンネルの構造と保安システム」案内図。
中は迷路のようにトンネルがある。
「ケーブル斜坑」こちらは地上につながっている。
立ち入り禁止と看板が立っているが、これは作業坑。本坑と並行して北海道まで続いている。一応自動車も通れる設計になっているという。
海底部は23Km、その気になれば業坑を歩いて北海道まで行ける。
次回は、避難場所などを見て行こう。