全国裏探訪取材班は、鹿児島県霧島市に来ている。ここには薩摩藩の直轄の山ヶ野金山が存在した。限界集落の中に当時の記録がわずかながらに残っていた。段々と消えていく中に取材班が見たものとは・・・
先程の「えびす堂」から少し東に歩いてみることにする。えびす堂ということは商売繁盛の神様であるので、割と中心からそう離れていない場所に置いてあることが多くこの辺が賑わっていた可能性が高い。
「田町遊郭跡」
ここが田町遊郭跡である。海運で栄えた下関遊郭、出島などの外国人との貿易で栄えた長崎遊郭(丸山遊廓)についで栄えたというから驚きである。もちろん300年以上前の話であるため、今ではご覧の通り何も残っていない。今までの取材で100年前の建物がそう残っていないのと同じように、文献レベルでしか残っていない。
こちらは上空から捉えたものである。田畑の区画からなんとなく想像できるだろうか。規模的にも小さかったのではないかと思いがちだったが、実際に航空写真を目にし周りの家と比較すると、この遊郭は割と大きかったのだろうと想像できる。
かつて「西国三大遊郭」として栄えた田町遊郭は350年近く経った今、当時の情景を知ることは難しかった。恐らく画像に映っているであろう区画は賑わっていた当時の綺麗な電灯がついていて、仕事でたくさん汗を流した男たちは妖艶な魅力の店を訪ねて精力をつけたであろう。
「文化財を大切にしましょう 遊郭」
これはこれで変わった杭なのだが、文化財と呼べるものはもう目の前に存在しない。残念でならない。てか、こんな遊郭って書かかれたこのタイプの杭も珍しいな。
「郷士門」
郷士とは武士のことを指す。つまりここは武家屋敷だったのか。看板以外に何も説明は残っていないが、今にも朽ちそうな姿をかろうじて残してある。立派な門である。
全体的に新しい建物が見当たらない。屋根には苔やホコリがびっしりと付き無人の建物ばかりだ。ちなみにまだこの辺りの住民と遭遇していない。
ここは恐らく農作業を行っていた小屋だろう。これだけ雑草が生えていれば、随分と手入れと人の出入りがないのは察しがつく。ここの住民はどこに行ったのだろうか。
比較的にまだ住人が住んでいそうな建物を発見した。「すいませーん!」「ごめんくださーい!」と取材班の呼びかけは虚しく、何も応答がない。
LPガスのガスメーターは「BR」を示していた。ちなみにBRとは通常ガス漏れということを示している。この家はガスが漏れているという話ではなく、ガス管に一定の圧力がかからず、大気圧と同じ=漏れていると判断するのである。補足をするとガスメーターは2013年が保安期限を示しているので、つまり交換していない=不在ということになる。もう10年近く不在ということになるのか。
恐らくこれは防災用の鐘だろうか。こういった鐘類は無線やスマホが普及した今となってはなかなか見ない代物になってしまった。手入れがされているような状態ではないが、スマホや無線が使えない場合実はこういったアナログの手段は危険を共有するや知らせるという意味では何か木の棒さえあれば鳴るので、かなり有用な手段でもあるな。
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(2020)