全国裏探訪取材班は、新宮市の「浮島遊郭」を訪ねるために新宮駅から歩いていたのだが、その道すがら「春日地区」と言う被差別部落も発見したので、まずそこを攻めてからレポしていきたいと思っている。
被差別部落に入った裏探訪取材班は変わった物件も好きだったりするので、改良住宅をしげしげと見ていく。この改良住宅は1970年代後半(昭和50年代)に行政の同和対策事業として建てられた。
改良住宅は2階建てになっており、よく言えばメゾネットのような感じになっているようだ。そして1階のベランダには庭付きだ。他地方の部落地区の改良住宅と比べ、鉄筋コンクリートで造りは結構豪華だな。
「中上健次生誕の地」
それもそのはず。と、言っていいのかどうか分からないのだが、この改良住宅が計画・建設される時期(1973年頃)この被差別部落出身の中上健二が「十九歳の地図」で芥川賞候補となり、その翌々年も同作「鳩どもの家」「浄徳寺ツアー」芥川賞候補となる。
中上はこの“被差別部落”の事を“路地”と呼んでおり、その路地を舞台にした作“岬”で戦後生まれ初の芥川賞を受賞。この春日地区が中上によって少し忖度と言う名の優遇を受けたのは事実かも知れん。
ちなみにこの春日地区近隣には朝鮮人部落もあったりしたので、中上は自分に朝鮮系の血が流れているのではないかと感じていたこともあったようだ。中上の母の名が木下千里と言う名前だったりもしたので、無理もないのかもしれん。
そうは言っても、中上健次が早逝してから既にざっくり30年。今となってはその影響力も限定的なようで、この通り物件もズタボロになりつつある。
「オークワ 新宮仲之町店」
そんな春日地区の北側には和歌山を中心とするスーパーマーケットオークワの創業の地がある。最近はイオンに完敗なのだというが。
中央通りを西側に横断し、浮島方面に行く。住所もそこでは新宮市浮島という事になるのだが、こちら側にも改良住宅がある。やはりこの辺もいわく付きなのか。
「浮島の森」
今回の目指す「浮島遊郭」の名前の元にもなっている浮島と言うのがこちら。まずは全体像から見て行きましょうかね。
ただの森のようにも見えるのだが、よく見ていただきたい。少し違うアングルから。
こちらが真俯瞰で見た浮島の森。よく見ると池にのようになったところの真ん中に森があるのがお分かりいただけるだろうか。そうです、名前の通りこの浮島って浮いてるんですよね。
「浮島の森の東西断面図」
浮いてるってどういうこと??と、言われるかもしれないが断面図はこんな感じ。池にプカプカ浮いている感じなんですよね。
「1926年(大正15年)10月」
現代は周りは住宅地になってしまったが、おおよそ100年前はこんな感じだったようで、周りの池がもっと広く、それこそ台風とか荒れた日があれば常に風に流されて移動していたのだという。その度に回りの家屋が損壊していたのだという。
正式には、新宮藺沢浮島植物群落といい、1927年(昭和2年)4月8日に国の天然記念物に指定された。
さていよいよ次回から、この浮島の北にあった「浮島遊郭」を見て行こう。
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(2020)