全国裏探訪取材班は、富山の泊にある「神田遊郭」跡に来ている。この泊はの所属する朝日町はたかだか人口1万人ほど。大した遊廓跡なんてないんじゃないかと思っていたが、取材班はいいように裏切られた。
現在神田新地は、石畳が引かれ立派に整備されている。同じ新地でも飛田新地なんかは実質ちょんの間としての機能や歴史を見てもネガティブな物しかない為、行政からの支援は殆ど無いが、ここの神田新地は、今でもちゃんとした料亭があり、現役の芸妓が居る為、保全には積極的なのだろう。この辺は全国遊郭案内にあった“藝妓の置屋もあれば、調理店も廓内に在る”のように花街としての要素も多いからだろう。
少し歩くとまたこんな妓楼があったり。前回に引き続き全国遊郭案内の続きを紹介していこう。
“御座敷は總て時間制で廻し絶對に取らない。御定りは夜十二時頃から翌朝迄なら四五圓見當である。藝妓を揚げるとすれば一時間の玉代が一圓で、二時間が一座敷と成つて居る。妓樓は玉木樓、萬歳樓、盛岡樓、水月樓、後楽館、小川亭の六軒”以上
と書かれている。
少し入った所にもこの通り。今でもしっかりと残骸が残っていますね。
真ん中には小川から引いた水路が流れている。この辺の町割りなんかが、遊郭っぽいんですよね。で、ここを渡ったところに・・
「富士見軒」
これも入口が大きくなかなか豪華なんだよね。今でも富士見軒の行燈がボンヤリと光ってるのが良いですよね。相当イカしてます。
「満十八才未満の方は御入店を お断り致します 店主」
ここにもはっきりとお決まりの文言が。実際いつぐらいまでこの辺ではソッチ系の商いが続いていたんでしょうかね。あと全国遊郭案内に載っている屋号が一つも見ないのが気がかりだ。屋号は途中で変わったんですかね。その辺詳しい方問い合わせにタレコミ願いたい。
「ホワイトハウス」
その富士見軒の道を西に行くとどん突きにこんな物件が。その名もホワイトハウス。名前のイメージの割にはズタボロのスナックしかない。
ホワイトハウスの前には三味線教室があったり。芸妓の芸の肥やしでしょうかね。
さらにそのどん突きを来たに行くと、なにやら変わった物件もありますよ。なんだこれ。
この物件Google先生の地図を見ても屋号は載っていない。一体何なのか。もう少し寄ってみる。
なんか受付みたいなもんがあるな。謎だ・・
これはまさか、切符売り場みたいなもんなのか。他の痕跡を探そう。
「入場券の半券は―」
入場券云々と書かれている。これは映画館。いや芝居小屋か何かか。もう少し物件を見る。
中を覗き見ることが出来た。これは芝居小屋だろうか。今は廃の方はタレコミ願いたい。いずれにせよ、廃業してしまったようだ。残念。
日もくれてきたので取材班は帰路につく。
町のを散策しながら帰る道すがら、ここにもレトロな駄菓子屋が。
中を覗いてみると現代から昭和にタイムスリップしたかと錯覚するような店内が。レトロすぎる。今だったら腹いっぱいお菓子を買える。
最後に立ち寄ったのは、行きしな見た駅前の食堂お多福。店内はがっつり昭和風情の食堂だった。そんな食堂で今日の神田新地を振り返る。
うどんをすすりながら最初取材班は思った。当初は神田新地なんてド田舎の遊廓と決めつけていたが、どっこい侮るなかれ。そこには北陸道の宿場町として栄えそこから、遊郭メインの花街が誕生した後、芸妓の置屋や料亭、近代には、芝居小屋のような娯楽施設もあった。新地と言えども単なるちょんの間ではなく、泊地区の大人の一大娯楽テーマパークだった。
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(2016)