全国裏探訪取材班は、坂出人工土地を〈特別編〉も含み今回で全8回お伝えしてきたわけだがいかがだっただろうか。今回は最後まだお伝えしていない部分を見ていければ。と思う。
取材班は、この段々になった階段状の団地を降りてきた。読者の中にはこの段々になった部分に違和感を覚えた方もいるのではないだろうか。
西側からこの階段状の団地を見る。この団地は平屋なので1階限りしかないのだが、見れば見るほど妙な光景になる。そう、それは下には何があるのか。
ただその疑問も、人工土地から地上に降りる自動車用のスロープを通ればすぐに勘付いた。このドア。もうお分かりですよね。
中に広大な空間がありそうな建物に、巨大な搬入口。
そうここは「坂出市民ホール」として1974年(昭和49年)に開館。以後40年以上にわたり坂出市民に愛されてきた。
ただ施設の経年劣化と設備の故障や火災リスクのため、今年2019年(平成31年)3月末をもって休館。以降の目途はついていないという。取材班が中をのぞいたが確かにズタボロだった。
住居から、商店街、公園、福祉施設まで網羅した完璧な施設なんですけどね。ホール上を市営住宅にしているのも画期的なのだが・・
最後に、この人工土地に関して権利的な観点から少し記述しようか。戦後再開発の時に、駅前に広がる不良住宅群解消に端を発した構想で、駅前に建てられたバラックなどの不良住宅の所有権を解決する為に構想され実現した。
そこで、この人工土地構想は所有権の権利関係をどのように解決したかと言うと、元の所有者より屋上権を行政が購入。そこに人工土地を造成しその上に団地を建てた。ただ、基本的に現行の法律では、自然土地から上の“空中権”や、人工土地から見た”地下権”に関して様々な権利が絡み合い、結局不動産登記の問題が続出した。人工土地とすることで、いわゆるマンションなどにおける区分所有とは違った考え方を導入したのだが、結局その考え次方は広まらず、全国でも人工土地の採用例はここだけとなった。今でも一部では揉めているという。
今後はこのような地盤を広く底上げする形式の人工土地は現れることはないと思うが、現在はさらに建築技術が進み商業施設一体の“タワマン”として空中に人工土地が広がったといってもいいだろう。
いつ取り壊されてもおかしくないこの坂出人工土地なのでマニアックな読者は急いだほうがいい。また、50年以上後に現代の人工土地であるタワマンがどうなっていくのか。これもまた見ものだな。
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(2019)