全国裏探訪取材班は、前回まで京口新地の大正楼を見てきた。この京口新地には他に大正楼よりも大きな妓楼や他に色々なオブジェクトが残されていた。

部落内にはブルーシートのみで補修されたオンボロ倉庫のような物。

もうすこし進むと、なにやら昔商いをしていたような民家のような建物がある。正面から見てみようか。

元々遊郭だったゆえんか、明らかに一般の民家ではない造りの家屋。料理屋か何かか。

その隣には小さな祠が。この遊郭の守り神だったのかもしれん。

取材班は京口新地をもう少し範囲を広げて探索することにした。

「京口橋南詰」
やって来たのは、京口新地のエリアから北に200mほど、篠山川に架かる京口橋だ。

基本的に京口新地の当時の娼妓は外出するときは逃亡防止のため、付き添いが付く。もちろん篠山の中心部へ行く際も一人で京口橋を渡ることはできなかったという。

大門の代わりに、ここ京口新地には大門ではなく橋があるということか。

当時の遊女たちも、この景色を見たのであろうか。さぞ暗く深い河に映ったに違い。

「焼肉 嵐山」
京口橋から、京口新地方面に再度歩いて向かう。大阪の某新地と同じタイプの看板が焼肉屋の看板として使われてるな。気にし過ぎか。

「大作酒店」
色々突っ込みどころな満載の酒店もあるな。ただ、これに付随するポスターがないのでアレじゃないのか。

取材班は再度用水路まで帰ってきた。大正楼から西へ30mほど離れたところか。もう一つの妓楼があった。

所々トタン張りのバラック妓楼と言ったところか。妓楼としての役目を終えたばかりか、民家としての利用も終わっていそうだな。

右の蔵には通期穴が開いており、手前の松との対比が妙に遊郭っぽい感じがしないでもない。

2階建ての大きな妓楼で瓦屋根が非常に迫力があるな。

破風も巨大で豪華さがある。1階はカフェー建築のような意匠が見て取れる。

さらに見て行くと1階はゴシック建築なようなモダンな雰囲気。床屋やカフェに見えなくはない。

遊郭建築ということは最低でも60年ほど経過していることになるが、そんな時代にこの立派なデザイン。

下には「郵便」と書かれた郵便受けがある。お洒落だな。

凝った意匠は物件前側面にこれまたハイカラな飾りがあるな。向かって右は健在だが・・

向かって左にも最近まで同じデザインだったのだが、長年の劣化で崩れてしまている。もしかするとここも取り壊しも時間の問題か。

全面はお洒落なのだが、側面は、用水路側の裏側と同じ全面トタン張り。少し視点が移動するだけでバラック妓楼になるな。まぁ当時は隣にも同じ規模の妓楼があったので気にしなくてもよかったんだろう。

モルタルの壁に木製の観音ドアが入り口として妓楼の象徴として花を添えている。ただドア下のコンディションは風化が進んで粉を吹いてるな。

ドアのガラス越しに玄関を覗いてみる。和と洋の見事な融合だな。素晴らしい。豪勢な洋風カーテンにステンドグラス。さらには土間、鏡と見事なアプローチだな。

視線を左にずらすとこれはなんと言ったらよいのか、何か装飾品を置くような収納台がある。花でも飾っていたのだろうか。

玄関の照明もクラシックだ。この光に引き寄せられ、第七十連隊の軍人が連日のように登楼しお金を落としていったのか。

2階部分が劣化防止出養生してしまっているのは残念だが上には、2本の釣り灯籠がある。 夜営業中に怪しい光を放っていたであろうこの妓楼も、歴史という時代の流れにすでの風前の灯火だ。

この元遊郭で取材をしていると、ここの年寄りの住人からずっと見張られる気配を感じていたのだが、それはもしかすると失踪した阿部定だったのかもしれない。この遊郭が取り潰されると聞いて、草葉の陰でそれを見届けようとしているのかもしれない。もう時間はないので見学はお早めに。
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(2019)